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機能性表示食品について考える

投稿日:2017年5月8日 更新日:

「『牛丼=不健康』というイメージを払拭したい」

牛丼チェーンなどを運営する吉野家ホールディングスで
素材開発を担当する梶原伸子氏は、
3月発売の新商品に切実な願いを託した。
外食大手で初の機能性表示食品となる「サラシア入り牛丼の具」、
略称「サラ牛」だ。

価格は10袋セットで税込み5000円と、
1杯380円の店頭商品より高い。
冷凍商品だが、店頭に冷凍庫がないため
当面は自社通販サイトでのみ扱う。
「食後の血糖値の上昇をおだやかにする」と表示することで、
機能性牛丼という新市場の開拓を目指す。

参入障壁低く、商品数が急増

2015年4月に始まった機能性表示食品制度により、
メーカーは専門的な研究を踏まえた
科学的根拠を消費者庁に届け出れば、
健康機能をラベルやパッケージに記載できるようになった。

国の審査が必要な特定保健用食品(トクホ)に比べて、
開発にかかる期間や費用を圧縮できる。
ただし商品の安全性や機能については、企業の自己責任となる。

雪印メグミルクの「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」は
「内臓脂肪を減らす」、
江崎グリコのチョコレート「GABA(ギャバ)」は
「一時的・心理的なストレスを低減する」と表示する。

ほかにもファンケルのサプリメントや
キリンビールのノンアルコールビールなど、
2年間に届け出られた商品は800点近い。
2016年の市場規模は452億円に達した(インテージ調べ)。

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各社がこぞって機能性表示食品を投入するのはなぜか。
アサヒ飲料の大越洋二マーケティング本部長は
「トクホの審査には1〜2年かかるが、
機能性表示食品なら発売60日前までに届け出ればよい。
需要の変化にタイムリーに対応できる」と説明する。

同社は4月4日、
カルピスブランドで初めての機能性表示食品
「カラダカルピス」を発売する。
うたい文句は「乳酸菌で体脂肪を減らす」だ。
体脂肪関連の機能を訴求する商品は多く競争が激しいが、
近年の乳酸菌ブームを追い風に攻勢をかける。

トマトジュースは売り上げ7割増

機能性表示は新商品だけではない。
トマト加工品で国内最大手のカゴメは、
1933年発売のロングセラー商品である
「カゴメトマトジュース」を16年2月から、
「血中コレステロールが気になる方に」
という機能性表示を加えて販売した。

中身や値段は変わっていないのに売り上げが急速に伸び、
出荷数量は表示追加前と比べて73%増加した。

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「トマトに含まれるリコピンの
健康機能の科学的根拠を示すために、
1300本以上の論文を調査した。
ただ、トクホにする場合は商品を用いた臨床試験が必要なため、
よりコストがかかる」(カゴメ・マーケティング本部の加藤宣司主任)
という。

同社は1973年発売の「カゴメ野菜ジュース」も、
5月に機能性表示を加えて販売する。
トマトジュースでの成功を横展開する目算だ。

一方、トクホ中心のために対応が遅れた企業もある。
「2年でここまで広がるとは思わなかった」と舌を巻くのは、
サントリー食品インターナショナル・ブランド開発第一事業部の
鵜飼太祐部長だ。

国内飲料シェア2位の同社は、
「伊右衛門 特茶」や「黒烏龍茶」などの
トクホ商品を次々と世に送り出してきたが、
機能性表示食品は発売していない。
今後はトクホ中心の路線を維持しながらも
「魅力的な表示があれば」(同氏)、
機能性表示食品にも取り組む方針だ。

市場が急速に拡大する機能性表示食品だが、
制度への信頼を失墜させかねない事態も起きている。

2016年11月、
サプリメントなどの通販を手掛ける八幡(やわた)物産は、
「北の国から届いたブルーベリー」を、
「目の調子を整える」という表示を取り除いたうえで再発売した。

機能性表示食品の届け出支援などを行う
日本アントシアニン研究会から
「科学的根拠が不十分」との疑義申し立てを受け、
届け出を自主撤回したためだ。

消費者本位の商品開発が求められている

また健康食品の素材開発を行うリコムは、
トクホの申請時に食品安全委員会から安全性について、
「臓器に影響を及ぼすことは否定できない」
と評価された成分を含むサプリメント「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」を、
機能性表示食品として2015年11月から販売している。
会社側は「安全性に問題はない」と語る。

企業側が専門家の研究を都合よく解釈して
機能性表示食品の届け出を行うことは、
別の問題も引き起こしている。
国立健康・栄養研究所の千葉剛・健康食品情報研究室室長は、
「企業が科学的根拠として採用した論文の被験者は若年層なのに、
実際のターゲットは高齢者という場合もある」と指摘する。

消費者庁は、
機能性表示食品の科学的根拠に関する
検証事業の報告書にこう記している。

「届け出者が高い倫理観を持って
消費者への誠実で丁寧な情報提供に取り組み、
同制度の充実を図っていくことが重要だ」

各社のさまざまな思惑により活用が相次ぐ機能性表示食品制度。
目先の利益にとらわれず、
消費者本位の商品開発という前提を守るべきだ。

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